ゲートカット

基本の基本

パーツ、ランナー、ゲート

 上の画像中央の丸い部分はタミヤ1/48ティーガー戦車の転輪部分です。このようなプラモデルの部品の部分をパーツといいます。このように説明するのもどうかと思いますが、部品、ゆえにパーツ。
 同画像左右端の棒の部分はプラモデルのパーツを保持する枠の部分でランナーといいます。湯(溶融樹脂)が流れる箇所、ゆえにランナー。
 同画像のパーツとランナーの境の細くなっている部分をゲートといいます。湯が流れ込む門(注入口)、ゆえにゲート。
 ゲートは、湯の流入状態(及びそれに影響される成型時間)を調整したり、パーツとランナーの境を明確にし切断跡の面積を小さくしたりするためのものです。
 ゲートの位置・長さ・太さ・形状は射出時間・成型品の品質・成型品の加工性といった要素のバランスから決まります。
 ゲートは、加工性も重要視されますが、決してパーツをランナーから手でもぐためのものではありません。
 例外はバンダイのタッチゲート(SDガンダムシリーズなどに採用されています)で、これは手でもいでもそこそこ綺麗にパーツが外れるような工夫がされています。
 パーツをもいで組み立てる子供の姿を見ての工夫で、バンダイが消費者利益を考えての細工です。

ゲートカット

 プラモデルを組み立てるためにはランナーからパーツを切り出す必要があるわけですが、ゲートを綺麗に切るのにはそれなりのコツがあります。

二度切り

作業数2
切断面

 まず、ランナーについているパーツをゲートを少し残してニッパーで切りとり、次にパーツに残ったゲートを根元からもう一度ニッパーで切る方法。
 二度に分けて切る分、手間は増えますが、確実かつまあまあ綺麗にパーツを切り出すことができます。
 雑誌などでしばしば推奨されている方法です。

ゲートを残して切る 残ったゲートを根元から切る

根元切り

作業数1
切断面×〜○

 ランナーについているパーツのゲートを根元からニッパーで切る方法。
 切り出し自体の手間は少ないものの、切断時にゲート周辺が傷みやすく表面処理まで含めると返って手間が増えやすいので、普通は禁じ手です。
 例外は、精密ニッパーや薄刃ニッパーなどの切れ味のいいニッパーを用いる場合。
 刃が薄く切れ味もいいニッパーであれば、いきなり根元から切ってもパーツが痛みにくいからです。

ゲートを根元から切る

ニッパーとデザインナイフ(アートナイフ)

作業数2
切断面

 まず、ランナーについているパーツをゲートを少し残してニッパーで切りとり、次にパーツに残ったゲートをデザインナイフ(アートナイフ)で根元から削り取る方法。
 道具を持ち替える分、手間は増えますが、二度切りと比較して曲面にあるゲートも綺麗に根元から切ることができます。
 慣れると鑢がけ要らずなくらい綺麗にゲートを切れるので、表面処理まで含めれば最も手間を省ける方法の一つです。

ゲートを少し残して切る ゲートを根元から削り取る

アートナイフプロ平刃(ギロチン切り)

作業数1
切断面

 カッティングマットの上にランナーを置き、ランナーについているパーツのゲートを根元からアートナイフプロ平刃で押し切る方法。
 用いる刃物は切れ味のいい薄刃のものであれば何でもいいのですが、アートナイフプロ平刃を用いるのは刃をぴったりとパーツに合わせるのが容易いため。
 二度切りと比較して慣れないと失敗しやすいのでお勧めするわけではありませんが、一度の処理でゲートをまあまあ綺麗に根元から切断することができます。
 ニッパーで切りやすいようにランナーを持ち替える手間が省けるので、パーツの切り出しにかかる時間はここで紹介した中では最短。曲面にあるゲートは切り残ってしまう部分がありますが切断面も良好。
 パイプ系のパーツや戦車の転輪パーツなど同形状のパーツが同ランナーに多数ある場合は特に有効です。
 切る際のコツは、ギロチンのように心持ち刃を斜めして切ることと、カッティングマットに当たるのは刃の右端部分か左端部分のみとし刃の真ん中部分切れ味を維持すること。
 時間短縮のための私なりの工夫なのですが、誰でも思いつく方法と思います。

アートナイフプロの平刃を使用 ゲートの根元に刃を当てて押し切る

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