メッキパーツの処理

メッキパーツの利点と欠点

 まずはメッキパーツの利点と欠点を比較してみましょう。

メッキパーツの利点

  • 塗装でだすにはコツがいる光沢が備わっている。

メッキパーツの欠点

  • メッキ面は模型用接着剤で接着できない。
  • メッキ面はそのままでは模型用塗料が食いつかない。(「乗せる」ことはできる)
  • ゲートの切断跡をメッキ面と同様に塗装することは困難。(キットの方がアンダーゲート処理してあれば切断跡が見えないのでかまわない)
  • 合せ目、ヒケ、パーティングラインなどの処理をするためには必然的にメッキを剥さねばならない。

 こうして見ると欠点の方が多いですが、だからといってメッキを剥すことが必要かといわれれば、さして必要ではありません。
 メッキパーツの光沢は美しいものが多いですし、ただ組むだけならあまり問題はありません。

メッキの剥し方

 プラモデルのメッキの剥し方にはいくつか方法があるのですが、もっとも安価で手軽な方法である漂白剤を利用する方法を紹介します。

メッキ面の構造

 一般に模型に用いられるメッキは真空蒸着メッキで、表面を滑らかにするためにアンダーコート用蒸着塗料を塗布して下地を作り、その上に金属を定着させています。
 通常使用される金属はアルミで、メッキの色は基本的に銀色となります。
 模型に見られるメタリックイエロー(金色、金メッキ)、メタリックレッド、メタリックブルー等の色のメッキは、このようなメッキの上に着色したトップコート用蒸着塗料を塗装した着色メッキです。
 トップコート用蒸着塗料は無着色の場合でもメッキ面の保護目的で塗布される場合があります。

メッキ面の構造

 こうしたメッキ面は断面を横から見ると上図のような構造になっています。
 これらの層の内、蒸着塗料は模型用ラッカーシンナーで、メッキ層は漂白剤で溶かすことができます。
 模型製作においてメッキを剥がす際は、これらの性質を利用してメッキを溶かすわけです。

 メッキが漂白剤で溶けるのは塩素イオンの金属腐食性によります。使用する漂白剤が酸性だからではありません。(メッキ剥がしに使用する塩素系漂白剤(主成分は次亜塩素酸ナトリウム)自体はアルカリ性)

 プラモデルのメッキを剥がす方法は「プラモデルのメッキはアルミ蒸着であること」と「塩素イオンには強い金属腐食性があること」と「塩素系漂白剤は塩素イオン濃度が高い薬品であること」を知っていれば論理的に導き出すことが出来ます。

 メッキ剥がしに漂白剤を使うのは、「アルミを溶かしてプラスチックを溶かさない薬品」で「身近かつ安価なもの」が漂白剤だからです。

 アルミ蒸着メッキを剥がす漂白剤は塩素系漂白剤なら何でもいいわけで、キッチンハイターだけでなくマジックリンとかカビキラーでも可能でしょう。

トップコート無しの場合

準備

 メッキが着色されていない場合、大抵、トップコートはされておらずトップコートを剥がす手間は必要ありません。(ものによってはトップコートされている場合もあります)
 メッキ層を溶かすために、まず漂白剤とそれを入れる器を準備します。
 器はタッパーのように蓋ができるものをお勧めします。蓋をすることにより、漂白剤の臭気が広がることを防ぐことができるからです。

剥がす前

 水で2倍程度に希釈した漂白剤をタッパーに入れ、メッキパーツをつけこみます。
 水で薄める理由は比重。
 プラモデルに使われるプラスチックは水より比重が高く水に沈みますが、漂白剤の原液には浮いてしまいます。
 浮いてしまうと漂白剤に浸かっていない部分のメッキが剥がれないので、原液を水で薄めて比重を下げ、プラスチックが沈むようにするというわけです。
 もっとも今回は撮影のために原液を用い、浮かしています。

剥げた状態

 メッキパーツをつけこんでおよそ二時間後。
 このとおりメッキがすっかり剥がれ落ちました。
 後はパーツを取り出して水でゆすいで乾かすだけです。
 パーツを取り出す際は、漂白剤に直にさわらないように割り箸やピンセットを使うことをお勧めします。直接触ると皮膚をいためます。

洗浄後

 水でゆすいで乾燥させたパーツ。

トップコート有りの場合(着色されている場合)

シンナーに漬け込む

 メッキが着色されている場合、当然トップコートがされており、漂白剤では蒸着塗料を溶かすことはできないので、そのままではメッキを剥がせません。
 メッキを剥がす際は、まず上の画像のように模型用ラッカーシンナーに漬け込むことでトップコートを溶かす必要があります。

トップコートを剥がした状態

 メッキ層を着色していたトップコートが溶け、銀色のメッキ面が現れたパーツ。

漂白剤漬け

 後は無着色の場合と同じく漂白剤に漬け込みます。

メッキ層を剥がした状態

 漂白剤に漬け込むことでメッキ層が溶け、極薄く黄色がかった色の蒸着塗料で覆われているだけのパーツ。
 蒸着塗料は模型用接着剤で溶けるのでこの段階で接着可能ですし、塗料も食いつくので塗装可能です。
 よって、塗膜の厚さに余程こだわらない限り、ここでメッキ剥がしを終えていいでしょう。

再度シンナー漬け(中毒のことではない)

 こだわる場合はさらに蒸着塗料を溶かす作業を行います。
 上の画像のように模型用ラッカーシンナーに漬け込み、蒸着塗料が溶けるのを待ちます。ただ、蒸着塗料の性質によっては時間がかかったり溶けなかったりする場合もあります。(正確には溶けるのですが、そのような蒸着塗料を溶かすような溶剤はプラスチックも溶かしてしまうため使用できません。)
 蒸着塗料を溶かす作業は、普通にガンプラを組む程度でしたらあまり効果の無い作業ですが、車のホイールパーツのような精密なパーツには効果大です。
 なお、このようなシンナーへの漬け込みの注意点として、シンナーの浸透性によりパーツが割れることがあげられます。リスク覚悟の上で作業願います。

時間はかかっても手間はかからない方法

 メッキを剥がす際、時間はかかっても手間はかからない方法として、メッキ層御構い無しに蒸着塗料を直接溶かす方法が挙げられます。
 方法はランナーから切り出したパーツを模型用ラッカーシンナーに長期間、およそ一週間以上、漬け込むだけ。
 ゲート切断面から浸透したシンナーが徐々に蒸着塗料を溶かし、支えを失ったメッキ面がボロボロになって剥がれます。

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